クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

俺はそっと彼女の頬へ触れる。

「……もちろん。俺も同じこと考えてたよ」

彼女の肩から、少しだけ力が抜ける。

「りんりんが不安になるようなことは、絶対にしない。外では今まで通り、先輩と後輩で。……でも、二人きりになったら、ちゃんと恋人として接する。それでいいか?」

それが、彼女を守るために今の俺ができる最低限の誠実さだった。

「はい……ありがとうございます、先輩」

安心したように頷いた彼女が、再び俺の胸元へ身体を預けてくる。
俺はその背中を抱き寄せながら、静かに目を閉じた。

これから先、簡単なことばかりじゃないだろう。
仕事では今まで通り「先輩」と「後輩」でいなければならない。
視線も距離も、言葉も、きっと今まで以上に気をつけなければならない。