クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

「……チームから外された時、本当は……すごく、寂しかった。……避けてる先輩を見るのが、悲しくて……仕事どころじゃない日だって……。でも、先輩が……遠くから見ててくれるのも、分かってたから……」

(俺の身勝手な距離の取り方が、こんなにも彼女を泣かせていたのか……)
強烈な後悔と愛おしさが同時に押し寄せ、俺は言葉もなく彼女を抱きしめる腕の力をさらに強めた。

彼女は、少しだけ顔を上げ、涙で濡れた瞳で俺を見つめた。

「……私、先輩のチームじゃなくなっても……ずっと隣にいたいって、思ってました。……後輩じゃなくて、一人の女の子として……見てほしかった……」

彼女は、涙をこらえるように小さく笑って、俺の首に腕を回してきた。

「……はい。……私でいいなら、喜んで。……私を、先輩の彼女にしてください」

その言葉で、ようやく覚悟が決まった。

「……ああ。……もう、離さない」

重なる唇。

一年半もの間、「上司」と「部下」という壁で二人を遮ってきた距離が、今、完全にゼロになった。
外は、二月の冷たい夜。
それでも、この部屋の中だけは、狂おしいほどの熱で満たされていた。