クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

導かれるように窓際にあるソファへと、並んで腰を下ろした。
触れそうなほど近い距離。けれど二人の間にはまだ、俺が自分を守るために築いてきた「上司」という名の透明な壁が、今にも割れそうな薄氷のように残っていた。

俺は意を決して口を開いた。

「……本当は、ずっと怖かったんだ」
「……何が……ですか?」

戸惑うような彼女の問いかけに、俺はずっと胸の奥に封じ込めていた本音を吐き出した。

「……君を傷つけるのが。……仕事の邪魔になるのも、君の未来を狭めるのも、全部。君のような人間の側に俺なんかがいるべきではないって。……だから、あえて離れて、ずっと見てるだけでいいって思ってた」

黙って俺の横顔を見つめている彼女を横目でチラリと見る。
その瞳に、俺の勝手な距離感や厳しさが、どれほど彼女を不安にさせていたかが浮かんでいる気がして、胸が痛んだ。