クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

「立場? ……後輩、ですよね? ……それとも、……ただの、一人の女の子ですか?」

その瞬間、俺の中で張り詰めていた何かが音を立てて千切れた。
カウンターの下で、俺の手が彼女の指先に微かに触れる。
驚くほど熱くて、自分の手が情けないほど震えているのが分かった。

(……ダメだ。俺には、その資格がない)

俺は、まるで火に触れたかのようにその手を引っ込め、強く握りこぶしを作った。
今にも彼女へ触れてしまいそうになる衝動を、奥歯を噛み締めて無理やり押し殺す。

「…………帰るぞ」

掠れた声で立ち上がった俺の横顔は、自分でも分かるほど強張っていた。

「これ以上は、……俺も、責任が持てない」