クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

「いいですよ! でも…プロジェクトも終わってるし、今さら二人で会議室にこもったりしたら周りに『あの二人、何の話してるの?』って、変に勘ぐられちゃいますよ。私、変な噂立てられるの困ります〜」
「あ……いや、それは……」

確かに、彼女の言う通りだ。不用意に会議室に呼び出せば、要らぬ憶測を呼び余計に彼女を傷つけるかもしれない。
俺が言葉に詰まっていると、彼女は信じられないことを口にした。

「会議室じゃなくて、外で美味しいご飯奢ってください! その方が、私も変に気を遣わなくて済みますし」

(……外で!?)

耳を疑った。俺はセクハラまがいのことをした加害者で、彼女は被害者だ。
それなのに、業務時間外に外で二人きりで食事に行くなど……普通に考えてあり得ない。

「そ、外でか? それはちょっと…」
「……だって会議室だと、業務連絡みたいになっちゃうじゃないですか。私、そんな堅苦しい感じで謝られるの嫌なんです」
「いや、しかし……」
「……それとも先輩、私と二人でご飯行くの嫌…ですか?」

ほんの少しだけ拗ねたような声に、俺は思わず言葉に詰まった。