クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

あのモニター前のハプニングから数日。俺は、生きた心地がしていなかった。

業務中も、キーボードを叩く自分の手が視界に入るたび、あの時の柔らかな感触と熱が鮮明にフラッシュバックして息が詰まる。
封じ込めたはずの彼女への狂おしいほどの想いが、あの一瞬の接触で堰を切ったように溢れ出し、どうにかなってしまいそうだった。

だが、それ以上に俺を打ちのめしていたのは、後輩である彼女に「セクハラ」という最もあってはならない行為をしてしまった、という絶望的な事実だ。

(……俺は、取り返しのつかないことをした)

徐々に事の重大さに押しつぶされ、仕事にもまともに手がつかなくなっていた。
彼女が俺を避けているのは明らかだった。もうすでに、コンプライアンス窓口に駆け込んでいるかもしれない。
……いや、もしそうだったとしても仕方がない。彼女に触れてしまったのは紛れもない事実であり、すべての責任は俺にあるのだから。

(……どんな処分が下ろうと、甘んじて受けよう。でもその前に、俺自身の口から彼女にしっかりと謝罪しなければ)

腹を括った俺は、定時を過ぎた頃、彼女がマイボトルを持って席を立つのを見計らい、執務室を出た廊下の途中にある給湯室へと向かった。