バーを出ると、冬の夜の冷気が火照った頬を容赦なく打った。
(……先輩、逃げようとしてる……)
前を歩く大きな背中が、あからさまに私との距離を取ろうと少し急ぎ足になっている。
さっきのバーで、あんなに熱い手が触れ合ったのに。
あの瞳は、もう「後輩」を見るものじゃなかったはずなのに、上司という最後の壁がどうしても壊せない。
このまま駅に着いて、「じゃあな」と背中を向けられたら?
……そんなの、絶対に嫌だ。
もう、なりふり構っていられなかった。
アルコールは確かに回っているけれど、足元がおぼつかないほどじゃない。
でも私は、駅のロータリーが見えてきたあたりで、わざと足の重心を崩した。
「あっ……」
「りんりん? 大丈夫かっ」
すぐに力強い腕が伸びてきて、私の体をしっかりと抱き留める。
よろけた勢いで、先輩のコートが頬に触れた。
すぐ近くにある彼の匂いに、ドクンと心臓が大きく跳ねる。
その動揺を隠すように、私は少し潤んだ瞳を下から向けた。
(……先輩、逃げようとしてる……)
前を歩く大きな背中が、あからさまに私との距離を取ろうと少し急ぎ足になっている。
さっきのバーで、あんなに熱い手が触れ合ったのに。
あの瞳は、もう「後輩」を見るものじゃなかったはずなのに、上司という最後の壁がどうしても壊せない。
このまま駅に着いて、「じゃあな」と背中を向けられたら?
……そんなの、絶対に嫌だ。
もう、なりふり構っていられなかった。
アルコールは確かに回っているけれど、足元がおぼつかないほどじゃない。
でも私は、駅のロータリーが見えてきたあたりで、わざと足の重心を崩した。
「あっ……」
「りんりん? 大丈夫かっ」
すぐに力強い腕が伸びてきて、私の体をしっかりと抱き留める。
よろけた勢いで、先輩のコートが頬に触れた。
すぐ近くにある彼の匂いに、ドクンと心臓が大きく跳ねる。
その動揺を隠すように、私は少し潤んだ瞳を下から向けた。
