響け!沈黙のレクイエム

(苦しい……。助けて……。お父さんたちもこんな風に……)

ハリエットはもがくものの、拘束も鉄球も彼女の力でどうにかなるものではない。水を含んだエプロンドレスは体力を奪い、ハリエットの意識は遠のいていく。

(ああ……私、このまま……)

ハリエットの目から涙が溢れ、波に攫われていく。このままハリエットは暗い海底に沈み、消えていくーーーはずだった。

「ハリエット!!」

自分の本当の名前を呼ぶ声に、自分の体を支える手に、ハリエットは目を開けた。レオンハルトが目の前にいる。レオンハルトは海の中にいるというのに、少しも苦しそうではなかった。そしてレオンハルトが魔法で解いたのか、拘束や鉄球がハリエットの体から消えている。

(レオンハルトさん、水の中でも息が?あっ、魔法で……)

そう考えるハリエットの唇に、柔らかいものが触れた。ハリエットの視界いっぱいにレオンハルトの顔が映る。

(えっ?)

何が起こっているのか、それを理解したハリエットの顔が赤く染まる。レオンハルトはハリエットを抱き締め、杖を上へと向けて叫んだ。