響け!沈黙のレクイエム

白い壁が開いた。ハリエットが顔を上げれば、ジョセフが嬉しそうにこちらを見ている。

「さぁ、ついたぞ。来い」

ハリエットがトランクを出ると、潮風が頰に触れた。ハリエットがいるのはホテルではなく、小型船の上だった。辺り一面海が広がっている。空をカモメの群れが飛んでいた。

「ここがサリエル号ーーーお前の両親が死んだ場所だ」

ジョセフがハリエットの肩に触れる。刹那、ハリエットは足に重みを感じた。ハリエットが下に目を向けると、彼女の足には重い鉄球が巻き付いていた。

「ッ!」

これから起こることを想像し、ハリエットは体を震わせた。今、ハリエットは処刑台に立たされたのだ。涙を溢すハリエットに対し、ジョセフは笑いかけた。

「安心しろ。両親の元へ行けるんだぞ。苦しいのは一瞬だ」

ハリエットは声にならない声を上げる。そんな彼女を無慈悲にもジョセフは海に落とした。冷たい水がハリエットを包み込み、彼女の体はどんどん沈んでいく。