響け!沈黙のレクイエム

時間などわからない。何時間もがいているのかわからない。ハリエットの額にできた汗が、肌を伝って真っ白な地面に落ちていく。

「フゥ……フゥ……フゥ……」

ハリエットは鼻を大きく膨らませ、上がった呼吸を整えていく。どれほどもがいても、やはり拘束は解けなかった。それなりに暴れたのだが、ただ縄がさらに体に食い込んで己を苦しめただけである。

(こんな時、探偵事務所のみんなならどう行動するのかしら……)

ハリエットは探偵社の全員の顔を頭に浮かべ、笑ってしまいそうになる。もう二度と会えないというのに、頭の中にふとした瞬間に浮かんでしまうのだ。

(アントーニョさんとオルハンさんは、そもそも捕まるなんてことはなさそうね。マーガレットさんは、相手を誘惑して縄を解いてもらうのかしら。レオンハルトさんは、魔法を使って脱出できそうね。カナタさんなら、大人しいフリをして敵を欺くのかしら)

考えれば考えるほど、ハリエットの中の決めたはずの覚悟が薄れていってしまう。彼女の目から涙が溢れた。