響け!沈黙のレクイエム

食事を無理やり口の中に入れられ、ハリエットの最後の晩餐は終わった。食事が終わるとハリエットはまたトランクの中に連れて行かれた。

「いよいよ明日がお前の命日だな。最期の瞬間まで残り時間を楽しんでおけよ」

ジョセフはそう言い、トランクの中から出て行く。ハリエットはその姿を扉が閉まる瞬間まで睨み付けていた。言葉を浴びせようにも、また口には布が咬まされているため叶わない。

(私、あんな人の言うことを聞いて死ななきゃいけないの?)

ハリエットは全てを諦め、人生を差し出すつもりだった。真実を探偵社員全員に隠し、嘘で着飾って過ごしてきた。ジョセフが現れたのはその罰なのだろうと、心の隅で考えていた。

(私は、私は……)

ハリエットは手首に力を入れる。縄が食い込み、ギシッと音を立てる。何度もハリエットは力を入れ、体を動かした。縄が軋む音が響く。痛みからくぐもった声が漏れる。それでも、ハリエットはもがき続けた。