ランチ放送室の消えた一曲

最初は、ほとんど無音だった。
でも、ほんの小さく「カサ」とビニール袋の音が入る。
次に、机をコツコツ叩くリズム。
椅子が引かれる音がベースみたいに重なって、笑い声がメロディーみたいに浮かぶ。おかしいのに、なぜか泣きたくなる。『…な? ちゃんと曲になるだろ』透の声が、スピーカーから優しく落ちてきた。『ただ、問題が一個あった。
 これを放送で流したら、たぶん誰かが言う。“気持ち悪い”って。
 だから、流さないことにした。
 でもさ、君なら笑ってくれると思って。…勝手だけど』私は鼻で笑った。
「勝手すぎ」すると、最後のサビみたいなところで、録音に混ざって透の小声が入った。『……いただきます』その一言が、なぜか完璧にハマっていた。