「えっ、ハル、何でっ?」
『ただいま』と返事することも忘れて、わたしはハルに駆け寄った。
「もしかして、ずっと待ってたの?」
そうだったらどうしよう、と、不安になりながら問いかける。すると、
「さすがに帰ってからずっとじゃないよ?もうすぐ帰ってくるっておばあちゃんから聞いたから。早く結芽ちゃんと仲直りしたくて」
何のためらいもなく『仲直りしたい』と、素直に言うハルに、ぎゅっと胸が苦しくなる。
「僕、結芽ちゃんの気持ち、全部は分からないけど、ひとりぼっちの気持ちは分かるよ」
一瞬、ハルの表情が曇る。
『ひとりぼっち』が何のことを指しているか、すぐに分かる。
わたしの脳裏に浮かんだのは、あの雨の日……箱の中で小さく身体を震わせ、鳴いていたハルの姿──。
「ハル……」
嫌なことをハルに思い出させてしまったわたしは、声をかけようとする。
だけどそれよりも早く、ハルは顔を上げて「でも」と、続けた。
「結芽ちゃんが僕を見つけてくれて、一緒にいてくれるようになって、今、僕はすごく嬉しくて幸せなんだ。だから結芽ちゃんにも、同じ気持ちでいてほしくて」
まっすぐに、いつもの笑顔を向けてくれるハル。



