好きだから。

教室の壁を見ると、丸い壁掛け時計の針は、もうすぐ1時を示そうとしてた。


「ね~、次の授業なんだっけ~」


「確か自習だって、きいたぜ」


「ラッキ~! 楽でいいよね~」


朝、そういえば担任の先生が、数学担当の先生が体調不良で、
しばらく休みだって言ってたよね。


私は机に置いた、数学の教科書とノートをしまう。


代わりに、明日提出のプリントを透明のファイルから、取り出した。


………けど。


「ねぇ!! あんた、隣のクラスの春陽くんとキスしたって、本当!?」


「へへへ~、実は、前々から内緒で付き合ってたの~♡」


“キス”。


女子生徒の声で、頭の中は、朝の珠雨くんとのことで
いっぱいになってしまう。


自然と顔が火照って、ふわふわしていく私。


私も、珠雨くんとキスしちゃったんだ……。


私は思わずハッとして、ブンブンと首を横に振る。


次は午後の授業もあるんだから、ちゃんとしないと!


成績学年トップを絶対にキープするんだから!!


「全員、席につけー」


担任の男の先生がさっそうと入って来て、教卓の前に立つ。


「今から、席替えするぞー」