カーテンコールはまだ鳴らない。


――昨⽇の夜と、今この場所。

あまりにも対照的な⼆つの世界が、静かに、彼⼥の中で交差していた。

響華は背筋を正し、モニターに視線を戻した。

画⾯に表⽰されているのは、昨⽇と同じ――指定暴⼒団、

⻯崎組の資料。

カタ、カタ、とキーボードを叩く⾳が、静かなオフィスに溶けていく。

構成員名簿、前科歴、関連企業、出⼊りしている店。

⼀つひとつ、念⼊りに洗い直していく。

……けれど。

「……やっぱ、何もない」

昨⽇も、あれだけ時間をかけて調べて“真っ⽩”だった。

たった⼀⽇経っただけで、都合よく新しい情報が転がり込んでくるはずもない。

むしろ、不⾃然なほどに綺麗すぎる。

前科は軽微なものばかり。

薬物関連の記録はゼロ。

噂だけが先⾏し、裏付けになるものが⼀切ない。