カーテンコールはまだ鳴らない。


* * *

通勤ラッシュの電⾞に揺られながらも、

なんとか警視庁に辿り着いた響華。

改札を抜ける頃には、すでに体⼒を⼀割ほど削られていた。

「……朝から疲れる」

⼩さくぼやきつつ、慣れた⾜取りで組対⼀課のオフィスへ⼊る。

扉を開けた瞬間、⽿に⾶び込んでくるのは――

業務連絡の⾶び交う声。

電話越しの硬い受け答え。

そして、あちこちから聞こえるキーボードを叩く、規則的な⾳。

⼀気に現実に引き戻される感覚に、胸の奥がぎゅっと詰まる。