カーテンコールはまだ鳴らない。


「……⼆⽇酔いはないっぽいな」

酒に強いのは救いだ。

けれど、睡眠不⾜だけはどうにもならない。

響華はゆっくりと起き上がり、眠い⽬をこすりながら洗⾯所へ向かう。

鏡に映る⾃分は、いつもと変わらない顔――

ただ、⽬の下にわずかな影が落ちている。

顔を洗い、⻭を磨き、髪を整える。

⼿慣れた動作で準備を進めながら、ふと昨夜のことが頭をよぎった。

――また飲もう。

――いつでも連絡して。

思い出してしまい、思わず⼩さく⿐で笑う。

「……ほんと、昔のまんま」

クローゼットからグレーのパンツスーツを取り出し、袖を通す。

シャツのボタンを留め、ジャケットを⽻織ると、気怠げだった体に

少しだけスイッチが⼊った。