カーテンコールはまだ鳴らない。


けれど、侑玖はすぐにいつもの調⼦で⼝元を緩めた。

「今⽇はありがとな。マジで楽しかった」

「私も。久しぶりに、ちゃんと飲めた気がする」

侑玖はポケットからスマホを取り出し、軽く振ってみせる。

「また飲も。いつでも連絡して!」

「……私も同じこと⾔おうとしてた」

そう返すと、侑玖は少しだけ驚いたように⽬を瞬かせてから、

「奇遇じゃん」

と、嬉しそうに笑った。

「じゃ、またな。気をつけて帰れよ」

「そっちこそ。酔って寝過ごすとかやめてよ?」

「否定できねぇ〜……」

軽⼝を交わし、互いに⼩さく⼿を上げる。

侑玖が改札を抜けていく背中を、響華はほんの⼀瞬だけ⾒送った。