カーテンコールはまだ鳴らない。


「ふーん、あんたも案外うまくやってんだ」

「そりゃ、天性の⼈たらしだからな」

「⼈たらし……あんたは相変わらずだね」

侑玖はグラスを持ち上げ、軽く笑う。

「まあ、響華にはかなわないけどな」

「なにそれ、褒めてるのかけなしてるのかどっち?」

「両⽅〜」

⼆⼈の間に、またあの頃と変わらない空気が流れた。

「もうさー、今⽇もデスクワーク地獄で……肩バッキバキだし、

上司は⻤みたいにうるさいし、書類は全然終わらないし……」

響華が少し⼤げさに腕を振り上げ、ため息混じりに愚痴る。

侑玖はクスクスと笑いながら、グラスを指で回す。

「……お前、ほんと忙しそうだな。可哀想に」

「可哀想とか、あんたに⾔われてもね……」

「まあまあ、そのおかげで俺はこうやって⼀緒に飲ませてもらってる

から良いんだけど〜。」