カーテンコールはまだ鳴らない。


氷が溶ける⾳が、静かな店内に響く。

仕事終わりの⼀杯。

それは、間違いなく幸福な時間だった。

レモンサワーをもう⼀⼝飲んで、響華はグラスをテーブルに置いた。

「……で、侑玖は?」

⾃然な流れで、そう聞いた。

「今、なにしてんの」

⼀瞬だけ、侑玖の視線が揺れた気がした。

けれどそれは、ほんの⼀瞬で。

「俺? まぁ、ぼちぼちだよ」

軽い調⼦で肩をすくめる。

「相変わらずフラフラしてんの?」

「ひっでぇ⾔い⽅」

笑いながら返してくるけれど、具体的な⾔葉は出てこない。