カーテンコールはまだ鳴らない。


(……ほんとに、変わってない)

そう思いかけて、すぐに⾃分を戒める。

――⾒た⽬や⼝調だけで、全部を判断するな。

(……って、それは刑事としての⼼構えだっつの)

⼼のなかでそう思い直した。

「とうちゃ〜く」

侑玖が⾜を⽌めた先には、年季の⼊った⼩さな居酒屋があった。

暖簾には、⼿書き⾵の⽂字で店名が書かれている。

「渋っ……」

「いいっしょ?

焼き⿃とレモンサワー、マジで最⾼。」

その⾔葉に、思わず⽬を細める。

「……私が焼き鳥好きなの、覚えてたんだ」

ぽつりと零すと、侑玖は⼀瞬だけ⾔葉に詰まり、すぐに笑って誤魔化した。

「そりゃ覚えてるっしょ。

三年間、散々⼀緒に飲み⾷いしてたんだし」

そう⾔って、暖簾に⼿をかける。

「ほらほら、⼊ろ。

今⽇は――積もる話、⼭ほどあんじゃん?」

暖簾が揺れ、店内の明かりと、⾹ばしい匂いが外へ溢れ出した。