カーテンコールはまだ鳴らない。


警視庁の正⾯⽞関を出ると、夜の空気がひんやりと肌を撫でた。

昼間よりもずっと静かな街。

ネオンが灯り始め、どこか浮ついた匂いがする。

――飲みに⾏くだけ。

ただ、それだけのはずなのに。

胸の奥が、ほんの少しだけ、ざわついていた。

英雄と敵役。

正義と悪。

その境界線は、今夜、また少しだけ曖昧になる。