執務室を出る直前、ふと背中に視線を感じた気がしたが、 振り返ることはしなかった。 廊下を歩きながら、ポケットからスマホを取り出す。 画⾯を点灯させると、昼間追加したばかりの連絡先が⽬に⼊った。 【⾼瀬】 ――ほんとに、久しぶりだな。 そう思いながら、トーク画⾯を開く。 少しだけ指が⽌まったあと、メッセージを打ち込んだ。 『仕事終わったよ。どこで飲む?』 送信。 エレベーターに乗り込み、下降する振動を感じていると、 すぐに既読がついた。