家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

(人違いしてる? でもこの状況で……?)

 不思議に思ったが、隣の巳影も同じような顔になっていた。

 なのに母はかえって嬉しそうな顔で、自分を指差す。

水瀬(みなせ)中学校の朝日奈くんよね? 私、あなたのお母さんと一緒にPTAの役員をしてたのよ!」

 そのように名乗った。

 言われた内容は、明莉も知っていることだった。

 水瀬中学校は自分が三年間、通った学校だ。

 そして母は中学校でPTA役員を務めていた。

 だけどそれがどう巳影に繋がるのか、そこはわからない。

 そもそも巳影がどうして「朝日奈くん」と呼ばれるのかも不明だ。

 よって戸惑いながら巳影を見たのだが、巳影はちょっと息を詰めていた。

「あ……た、確かに母は役員でした」

 思い出した、という顔をして肯定する。

 その反応を見た母は、さらに嬉しそうな様子になった。