ダウナーちゃんは死にたがり

その翌日。

本格的に文化祭準備が始まった。

本気で優勝を目指すらしく、朝からクラス全体に熱が入っている。

「絶対、照明こだわったほうがいいって!」

「背景どうする? セット作るなら今からやらないと間に合わなくね?」

「衣装は俺らで考えようぜ!」

あちこちから飛び交う声。

教室の空気は、昨日よりずっと騒がしかった。

正直、こういう空気は苦手だ。

みんなで一つの目標に向かって頑張る。

青春らしい、と言えばそうなのだろうけど。

私には、少し眩しすぎる。

演目はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』。





...............ある国に、ロミオとジュリエットという二人の若者がいた。


敵対する家に生まれた二人は、恋に落ちる。


けれど、二人の恋は周囲に許されるものではなかった。


すれ違って、傷ついて、それでも互いを想い続けて。


最後には、二人とも命を落とすという悲しいお話。




――まさに、悲恋。

王道中の王道だ。

……お父さんが好きで、昔これのミュージカルを観に行ったっけ。

「じゃあ、まず主役から決めようぜ!」

教室の中心から、そんな声が聞こえた。

「ロミオ役、誰にすっかなー」

「佐伯でよくね?」

「いやいや、俺よりもっとイケメンいるだろ!」

「謙遜すんなって!」

笑い声が起こる。

配役決めで盛り上がっている教室から目をそらすように、窓の外を眺めた。