ダウナーちゃんは死にたがり

伊織はその温度感を、どこか他人事みたいに眺めていた。

【ロミオとジュリエット】

佐伯が黒板に大きく書いた単語に、教室が一気に沸いた。

「うおおお!!」

「王道青春じゃねーか!!!」

「絶対これじゃん!」

担任が苦笑する。

「お前ら……盛り上がりすぎだぞー?」

伊織はぼんやりその文字を見つめた。

劇。

なんとなく、合わなそうだな、私。

そんなことを考えていると、

「相馬、合いそうじゃん。」

横から、低い声がした。

いつの間にか、隣の空席に腰掛けていた亮哉だ。

伊織はちら、と視線を向ける。

「……何が。」

「劇。ジュリエット役やれば?

最終的に死ぬじゃん、ジュリエットって。」

「......そうだっけ。」

亮哉はふっと笑った。

「国語の授業、ちゃんと聞いてなかったでしょ」

「......バレた。」

伊織はじっと亮哉を見る。