ダウナーちゃんは死にたがり

昼休み。

屋上のドアを開けた瞬間、少し湿った風が頬を撫でた。

薄曇り。

空は白くぼやけていて、春とも冬ともつかない曖昧な色をしている。

フェンス際。

亮哉は、いつものように煙草を咥えていた。

片手は指先で煙草を挟み、もう片方の手で煙を払う。

その姿は、妙に屋上の風景に馴染んでいた。

「……いた。」

伊織がぽつりと呟く。

亮哉は振り返らないまま、煙を吐いた。

「そりゃいるでしょ。昼休みだし。」

「屋上、ほんと好きだね。」

「相馬も割とそうだろ」

短いやり取り。

伊織はそのまま亮哉の隣まで歩いていき、

フェンスに背中を預けた。

はめたイヤホンは片耳だけ。

でも音楽は流していない。