* * *
午前⼆時三⼗七分。
宇野亮哉は、⽬を閉じているのに眠れなかった。
天井は暗いまま。
カーテンの隙間から、街灯の輪郭だけがぼんやりと浮かんでいる。
寝返りを打つ。
布団が擦れる⾳が、やけに⼤きい。
「……はぁ。」
理由はない。
今⽇、特別嫌なことがあったわけでもない。
両親はいない。
怒鳴り声もない。
静かで、平和で、何も起きていない。
なのに。
胸の奥に、じわっと広がる感覚。
――消えたい。
死にたい、というより。
いなくなれたら楽だな、みたいな。
理屈は分かっている。
今すぐ死ぬわけがない。
死ぬ勇気もない。
死ぬメリットもない。
現実的じゃない。
だから⾏動には移さない。
移せない。
それでも、感情は理屈と別の場所にある。
もう⼀度、寝返り。
枕に顔を埋める。
「……めんどくさ。」
⾃分に対して。



