* * * 午前⼆時。 世界がいちばん静かになる時間。 伊織は⽬を開けていた。 眠れない、というより 眠る意味が分からない、に近い。 天井を⾒つめたまま、胸の奥にじわじわと広がる感覚をなぞる。 ――死にたい。 唐突でもない。 理由もない。 ただ、波みたいにやってくる。 昼間は⼤丈夫だったのに。