ポケットから煙草を取り出す。 ⼀本、指で挟む。 でも⽕はつけない。 代わりに、そのまま天井へ視線を戻す。 「……気持ち悪」 ⾃分に対してだ。 あんなこと⾔っておいて、もう気にしている。 スマホを握りしめる。 連絡先は、ない。 暗闇の中、⽬を閉じる。 静寂が広がる。 誰もいない家。 誰かがいる家。 同じ夜なのに、それだけで温度が違う。 亮哉はもう⼀度、静かに息を吐いた。 「……死ぬなよ。」 届かないと分かっていても。 その⾔葉だけが、暗闇に溶けた。