極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

「まさかあんた、自分だって聖女様になれるかも……なぁんて甘いこと考えたんじゃないだろうね、ハハッ!」

 シスターの顔に浮かぶのは明確な嘲笑。

「聖女になるのは国でもほんの一握り、運命ってやつに選ばれた人間だけさ。どこぞの馬の骨とも知れないあんたにそんな力があったら、驚いてひん曲がった腰がぴんと伸びちまうよ!」
(…………)
「……なんだいその目付きは。文句でもあるってのかい? 親無しの小娘が」
「いいえ、別に」

 さすがに今のにはムッときた……けど、その通りだ。聖女なんてのは国内で年に百人も出ないほど限られた存在。事実私が知る十数年で何千という娘たちが教会に訪れたけど、誰もなれなかった。他所でも聖女が見つかったなんて噂、とんと聞かないし。

 でもさ……たまに妄想くらいしなきゃ、こんな働き詰めの貧しい生活やってらんない。ぐっと、手の内の雑巾を握りしめた。

「わかったなら馬鹿なこと考えてないで真面目に働くんだね。諦めな、あんたはあたしと同じだ。一生この寂れた街でくだらない人生を送るのさ」

 そんな私をシスター・ラミニはケタケタと笑い飛ばすと、美味そうに飲み干した酒のカップを教壇の上に打ち付ける。