万華鏡は月を巻き戻す


8月に入った。

「羽瑠。」

朔はいつもと変わらない声で呼んだ。

「夏祭り、一緒に行こうよ。
それから海も行きたい。夏にやりたいこと、ぜんぶやろう」

無邪気にそう言われて、胸が少しあたたかくなる。

「それより…どうなったの?
黒木院長のこと。」

「ちゃんと手は打ったよ。もう大丈夫。」

「そっか…ありがとう。どうやって?」

「それはね…内緒。」

いたずらみたいに笑う朔を見て、それ以上は聞けなかった。