夏休みに入った。
私を閉じ込めた女子生徒達は、注意を受け夏休み中は補修や掃除をさせられているらしい。
湿気を含んだ熱気が肌にまとわりつき、息をするだけで胸の奥が重くなる。
——夏祭りまで、あと一ヶ月弱。
あの日、私は“殺されるかもしれない”。
その事実だけが、じわじわと背中を冷やしていた。
「ねえ、お爺ちゃん。」
病室のベッドに座るお爺ちゃんの横顔が夏の光に照らされてゆっくり揺れている。
その穏やかさが、逆に胸をざわつかせた。
「なんだ?」
「朔が…何か隠し事してる。」
言葉にした瞬間、胸の奥がきゅっと縮む。
自分でも理由はわからない。ただ、嫌な予感だけが形を持ち始めていた。
「何かって?」
「わかんない。
でも何か…。」
朔の視線、声の揺れ、笑う顔。
何か違和感がある。
「ふーん。聞いてみたのか?」
「はぐらかされた。」
「うーん、なら言いたくないんだろ。」
「えー。」
お爺ちゃんはうっすら笑ったが、その目はどこか遠くを見ていた。
「嘘が全て悪いわけじゃない。」
「うん?」
「優しい嘘も必要な時はある。」
優しい嘘。
その言葉が、胸の奥にひっかかる。
「それでもさ…
それが私のことだったら?」
「だったら、尚更だろう。」
「え?」
お爺ちゃんは、少しだけ声を落とした。
「彼は…羽瑠のことが好きなんだろう。
守るための嘘かもしれない。」
守るため。
その言葉が、なぜか怖かった。
「…守るためってさ…。なによ。」
問い返す声が、自分でも驚くほど弱かった。
「まあ、羽瑠はそういうの好きじゃないよな。
だったら、直接聞くんだな。」
お爺ちゃんはハハッと笑った。
けれどその笑いは、どこか乾いていた。
私を閉じ込めた女子生徒達は、注意を受け夏休み中は補修や掃除をさせられているらしい。
湿気を含んだ熱気が肌にまとわりつき、息をするだけで胸の奥が重くなる。
——夏祭りまで、あと一ヶ月弱。
あの日、私は“殺されるかもしれない”。
その事実だけが、じわじわと背中を冷やしていた。
「ねえ、お爺ちゃん。」
病室のベッドに座るお爺ちゃんの横顔が夏の光に照らされてゆっくり揺れている。
その穏やかさが、逆に胸をざわつかせた。
「なんだ?」
「朔が…何か隠し事してる。」
言葉にした瞬間、胸の奥がきゅっと縮む。
自分でも理由はわからない。ただ、嫌な予感だけが形を持ち始めていた。
「何かって?」
「わかんない。
でも何か…。」
朔の視線、声の揺れ、笑う顔。
何か違和感がある。
「ふーん。聞いてみたのか?」
「はぐらかされた。」
「うーん、なら言いたくないんだろ。」
「えー。」
お爺ちゃんはうっすら笑ったが、その目はどこか遠くを見ていた。
「嘘が全て悪いわけじゃない。」
「うん?」
「優しい嘘も必要な時はある。」
優しい嘘。
その言葉が、胸の奥にひっかかる。
「それでもさ…
それが私のことだったら?」
「だったら、尚更だろう。」
「え?」
お爺ちゃんは、少しだけ声を落とした。
「彼は…羽瑠のことが好きなんだろう。
守るための嘘かもしれない。」
守るため。
その言葉が、なぜか怖かった。
「…守るためってさ…。なによ。」
問い返す声が、自分でも驚くほど弱かった。
「まあ、羽瑠はそういうの好きじゃないよな。
だったら、直接聞くんだな。」
お爺ちゃんはハハッと笑った。
けれどその笑いは、どこか乾いていた。


