万華鏡は月を巻き戻す

朔と過ごした誕生日デート。
あの時間は、胸の奥がじんわり温かくなるほど楽しかった。

ロケットペンダント…二人でお互いのことを想って作った。

今日はそれを制服の内側、誰にも見えない場所につけてきた。
肌に触れる小さな冷たさが、まるでお守りみたいに心を落ち着かせてくれる。

「羽瑠! おはよう。」

「おはよう。」

いつの間にか、朝はこうして朔と一緒に登校するのが当たり前になっていた。
彼は相変わらず、昨日と同じように、変わらない笑顔で隣にいる。

二人で教室に入ると、ほどなくして先生がやってきた。

「もうすぐ中間テストだから、今日は抜き打ちテストをします。」

「えー…聞いてない!!」

教室中が一気にざわつく。

「抜き打ちだって言っただろう。はい、配って。」

プリントが机の上に置かれる。

――全然勉強してない。
そもそもテストがあることすら忘れてた。

まあ、きっと朔も同じだろう。
そう思って横を見ると、彼は私の方にゆるりと手を振ってきた。

その仕草があまりにもいつも通りで、思わず肩の力が抜ける。

朔はペンを指先でくるくる回しながら、問題文を眺めているような、眺めていないような、掴みどころのない表情をしていた。
でも、ふと目が合った瞬間、彼は声を出さずに口の形だけで「すき」と言った。

それに気づき恥ずかしくなり、テストに目を向けた。