万華鏡は月を巻き戻す


「ねぇ、朔…
来年も一緒にお祝いできるかな?」

その言葉を口にした瞬間、
朔の目がわずかに揺れた。
ほんの一瞬だけど、確かに動揺していた。

「出来るよ。きっと。」

優しい声。
でも――わかる。
これは本心を隠した言い方だ。

朔は“未来から来た”と言った。
夏祭りの日、私に“殺されるかもしれない”ことも。

もし私が無事にその日を越えられたら、
朔はきっと自分のいた場所へ戻ってしまう。

胸がきゅっと痛む。

「ねぇ、朔は……」

言いかけたところで、
朔の表情がわずかに強張った。

続きを言わせまいとするように、
でも拒絶ではなく、
ただ“覚悟をした”ような目。

「ごめん…何でもない。」

その目を見た瞬間、
私は何も言えなかった。