万華鏡は月を巻き戻す


二人で軽くお昼を食べて、店を出た瞬間だった。

「よし、じゃあ次はー!」

朔が元気よく言ったそのとき、
外は突然ざぁっと雨が降り出した。

「すごい雨だね。」

「これだと散歩はできないなー。」

朔が少し考えてから、ぱっと顔を上げる。

「どうする? ショッピングモールで服とか見る?」

「うーん……」

迷っていると、朔が急に手を叩いた。

「よし! 予定変更!
スーパー寄って、傘買って、俺ん家いこ!」

「う、うん!」

勢いに押されて返事をすると、
朔は嬉しそうに笑った。

そして二人でスーパーへ向かう。

「何買うの?」

「ケーキ作ろうと思って。」

「ケーキ?」

「そう! 二人の誕生日祝いってことで。
何がいい? 王道にイチゴショートかな?」

「難しくない?」

「いけるいける!」

朔は迷いなく材料をカゴに入れていく。
その手つきが妙に慣れていて、思わず見つめてしまう。

「……朔、なんか慣れてない?」

「まあ、ちょっとね。」

朔は振り返って笑う。

「羽瑠と作るのは初めてだから、楽しみ。」

その一言で、胸のざわつきが一気に溶けていく。

雨音の中、
二人の誕生日ケーキの材料が
カゴの中で小さく揺れた。