万華鏡は月を巻き戻す

「な、なにするんだ。君たち。」

「何って……羽瑠のこと、追いかけ回してたよね?」

朔の声は低く、静かだった。

「え……?」

「な、なにを言うんだ……」

「知ってるよ。俺。
羽瑠のこと、ずっと見てたよね。
もう何ヶ月も前から。」

「うそ……」

知らなかった。
本当に、気づかなかった。

「ねぇ、どういうつもり?」

朔は及川をしっかりと押さえつけたまま、
その耳元に冷たい声で問いかける。

朔は手にしていた刃物を首筋にあてる。

「これ以上、羽瑠に近づく気はある?」

その声は穏やかだけど、
逃げ場のない圧があった。

及川は青ざめ、震えながら言葉を詰まらせる。

「ち、違うんだ……そんなつもりじゃ……」

「じゃあ、なんで追ってきたの?」

朔の問いに、
及川は口を開きかけて――閉じた。