万華鏡は月を巻き戻す

「そうだ、明日遊園地デート忘れないでね。」

「も、もちろん。楽しみだね!早くマリリンランド行きたいな。」

わざと店内に響くくらいの声で言って、
私たちはパン屋をあとにした。

外に出た瞬間、朔が小さく息を吐く。

「……これで、明日何か行動を起こしてきたら、ほぼクロだな。」

「そんなうまくいくかな?」

「どうだろうね。
でも、あの動揺は“ただの客”に向ける態度じゃなかった。
羽瑠に対して、何か特別な感情がある。」

「そうかな……。」

自分では半信半疑なのに、
胸の奥がざわっとする。

朔は歩きながら、横目で私を見た。

「俺、結構人の視線に敏感だからそういうの他の人よりわかるんだよね。」

「……すごいね。どうやって?」

「うーん、勘?」

朔の声は落ち着いているのに、
その言葉の裏にある“確信”みたいなものが、妙に引っかかった。