万華鏡は月を巻き戻す

放課後授業が終わり帰るところで、

「あの、なんでついてくるんですか!?」

「友達になったから。もっと仲良くなりたくて。」

屈託なく笑う朔に、私は思わず頭を抱えたくなる。

「いや、私あなたとは初対面なんですけど。
なのにいきなり“好き”とか……意味わかんない。」

「えー、試しに付き合うのは?」

「ない!」

「そっか! じゃあやっぱり友達として仲良くなろうよ!」

「……ほんと意味わかんない。」

めげる気配ゼロの朔は、当然のように私の横を歩き続ける。

(なんなのこの人……)


「ねぇ、月宮さんのこと、羽瑠って呼んでもいい?」

「え、呼び捨て?
ってかなんで名前知ってるの?」

「エスパー!」

「……」

「そんな冷たい目で見ないでよ。
俺のことは朔って呼んで!」

彼はまっすぐな目でこちらを見ていた。
春の光を反射した茶色の瞳が、やけに明るい。

なんて押しが強いんだろう、この人。
はあ。

「好きにして。」

「やった!」

子どもみたいに無邪気に笑う朔。
その笑顔があまりにも自然で、
思わず肩の力がふっと抜けてしまう。

……変わった人。