万華鏡は月を巻き戻す

昼休み、屋上にて。

陽の光が白いコンクリートに跳ね返り、少し眩しい。
風が吹くたび、フェンスがかすかに鳴った。

「とりあえずさ、透さんは“なし”ってことでいいんだよね?」

私がそういうと、朔は紙パックのジュースを飲みながら答える。

「うん、そうだね。
次は……及川康。パン屋の亭主かな。」

「うーん、こんなに美味しいのにな。」

私は袋からメロンパンを取り出し、かじる。
外側のサクッとした甘い皮が崩れて、ふわっとした香りが広がった。

「普通さ、容疑者かもしれないパン屋さん行く?」

少し呆れ気味に朔がいう。

「え、だっておいしいよ。一口食べる?」

差し出されたパンを、朔はかじる。

あむ。

「あ……美味しい!」

「ちょっと、一口どころじゃないじゃん!」

口のパンくずをそっと取る仕草がなんかかっこよくてむかつく。

「まあまあ。一緒に行こうよ、そのパン屋。」

そして朔はニコッと笑った。
茶色の髪が風に揺れ、光を受けて柔らかく見える。

「あー、もうゴールデンウィークだな。」

空を見上げながら彼がつぶやく。
雲がゆっくり流れていく。

「確かに。」

「この休みの間に、どうにか調べたいな。」

「そうだね。」