朔side
羽瑠が売り場の奥へ歩いていった。
その背中が見えなくなった瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなる。
透さんと二人きりになるのは正直気まずいけれど、
今、言わなきゃいけないことがある。
「あの……」
自分でも驚くほど声が硬かった。
透さんが振り返る。
「なに?」
「疑って……すみません。」
頭を下げると、
透さんは一瞬だけ目を丸くして、すぐに柔らかく笑った。
「別にいいよ。
君が何を気にしてるのかは知らないけど……
羽瑠ちゃんのこと、大切に思ってるのは見てれば分かる。」
その言葉が、胸の奥に静かに落ちた。
責めるでもなく、軽く流すでもなく。
ただ、まっすぐに受け止めてくれる。
「……ありがとうございます。」
自然とそう言葉が出た。
透さんは豆腐を手に取りながら、
少し遠くを見るように言った。
「仲良くね。
楽しい青春は今だけだから。
大人になると……色んな“しがらみ”が出てくるからさ。」
その声には、
経験した人にしか出せない重さがあった。
「そうですね。」
俺は素直にうなずくしかなかった。
大人には…きっとなれないだろうけど。
透さんがふと思い出したように、指を立てる。
「そうだ。ひとつ、いいこと教えてあげる」
「はい?」
「羽瑠ちゃん、トマトソースのオムライスより
ホワイトソースのオムライスの方が好きだよ」
そう言って、カゴの中の材料を指さした。
胸が少しだけ熱くなる。
「……それは、いいこと聞きました。
ありがとうございます。」
透さんが笑う。
俺もつられて笑った。
ほんの短い時間だったけれど、
この人が“羽瑠のことをちゃんと想っている人”なんだと、
ようやく実感できた気がした。
羽瑠が売り場の奥へ歩いていった。
その背中が見えなくなった瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなる。
透さんと二人きりになるのは正直気まずいけれど、
今、言わなきゃいけないことがある。
「あの……」
自分でも驚くほど声が硬かった。
透さんが振り返る。
「なに?」
「疑って……すみません。」
頭を下げると、
透さんは一瞬だけ目を丸くして、すぐに柔らかく笑った。
「別にいいよ。
君が何を気にしてるのかは知らないけど……
羽瑠ちゃんのこと、大切に思ってるのは見てれば分かる。」
その言葉が、胸の奥に静かに落ちた。
責めるでもなく、軽く流すでもなく。
ただ、まっすぐに受け止めてくれる。
「……ありがとうございます。」
自然とそう言葉が出た。
透さんは豆腐を手に取りながら、
少し遠くを見るように言った。
「仲良くね。
楽しい青春は今だけだから。
大人になると……色んな“しがらみ”が出てくるからさ。」
その声には、
経験した人にしか出せない重さがあった。
「そうですね。」
俺は素直にうなずくしかなかった。
大人には…きっとなれないだろうけど。
透さんがふと思い出したように、指を立てる。
「そうだ。ひとつ、いいこと教えてあげる」
「はい?」
「羽瑠ちゃん、トマトソースのオムライスより
ホワイトソースのオムライスの方が好きだよ」
そう言って、カゴの中の材料を指さした。
胸が少しだけ熱くなる。
「……それは、いいこと聞きました。
ありがとうございます。」
透さんが笑う。
俺もつられて笑った。
ほんの短い時間だったけれど、
この人が“羽瑠のことをちゃんと想っている人”なんだと、
ようやく実感できた気がした。


