万華鏡は月を巻き戻す

「なんでこんなことに……」

思わずため息が漏れる。

「いいじゃん。楽しいお母さんだね。」

朔はどこか楽しそうに笑った。
その余裕が、逆に腹立つような、救われるような。

夕飯の買い出しに向かう。
なぜか透さんも一緒だ。

「姉さん、昔からあんな感じだからなー。」

透さんが頭をかきながら苦笑する。

「透さんも苦労してますねー。
……っていうか、夕飯のメニュー、鶏もも買うんですか?」

「うん。さっき作った唐揚げを、夕飯でもまた作って出す!」

「へぇー……良い父親してますね。」

朔が素直に言うと、透さんは嬉しそうに目を細めた。

「そう?嬉しいなー。」

その表情は本当に“家族が好きな父親”の顔だった。

「あ、私、卵持ってくる。」

「うん。」

私は、スーパーの奥の卵売り場へ向かった。