万華鏡は月を巻き戻す

私たちは、なんとか形になった唐揚げをお昼に食べることになった。

「美味しいです。」

朔が素直に言う。

「うん、ちょっと焦げてるけど……おいしいよ。」

私もそう言うと、透さんが照れたように笑った。

「二人ともありがとう。」

その笑顔は、さっきまでのドタバタが嘘みたいに優しい。

「はー……なんでこんな家事能力の低い男に育ったんだか。」

母がため息をつきながら、じろっと透さんを見る。
そして、なぜか朔の方へ視線を向けた。

「君は……今から料理頑張ってね!
未来の息子よ!」

「ちょっ、お母さん!!」

突然の“未来の息子”宣言に、私は思わず声を上げた。

でも朔は――

「はい!任せてください!
俺、料理は得意です!」

ビシッと手を上げて答えた。
その真面目さが逆におかしい。

「え!ほんとに〜!?
じゃあさ、夕飯、羽瑠と作ってみてよー!」

「ちょっとお母さん!!」

「ほら、彼氏入門試験ってやつ!」

そんな適当な……と思うのに、朔は大真面目で。

「それ、受けます。やらせてください!」

真剣な目でそう言った。

その瞬間、
母は「おお……」と感心し、
透さんは「若いっていいなぁ」と笑い、
私は顔が熱くなるのを止められなかった。