万華鏡は月を巻き戻す


「お邪魔しまーす!
うわ、なんか緊張する!」

「その割にテンション高くない?」

「え、だって羽瑠の部屋だよ!
好きな子の部屋とかさ、ウキウキするよね!」

「はあ。また適当なことを。」

「適当じゃないよ。」

朔は当然みたいな顔で言う。
その自然さが逆に腹立つし、ちょっと照れる。

「好きとかさ、簡単に言うよね。
正直よく分からない。」

「そう?
俺は羽瑠のこと可愛いって思うし、好きだなって思うけど。」

「それがわからないんだよ。
顔ってこと?」

「うん、顔も可愛い。
全部可愛い。」

即答。
迷いゼロ。
その真っ直ぐさが、胸の奥をざわつかせる。

私は頬杖をついて、視線をそらした。

「意味わかんない。」

言葉では突っぱねてるのに、
心のどこかがじんわり熱くなる。