万華鏡は月を巻き戻す


そして土曜日。
その日はついにやってきた。

「あ、お母さん。友達が来るから」

「え?そうなの?
透も来るけど。」

「別にこっちは気にしなくていいよ。」

「っていうか、なんで当日に言うのよ。」

母は呆れた顔。
そのタイミングで、玄関のチャイムが鳴った。

一足先に朔がやってきた。

「初めまして、七瀬朔です。
羽瑠さんと仲良くさせていただいてます。」

丁寧にお辞儀をし、爽やかに微笑む。
その瞬間、母の顔がぱぁっと明るくなる。

「やだ、かっこいい!
え!彼氏?彼氏なの!?」

母が興奮気味に私の肩をバシバシ叩く。

「違う。友達。」

「俺は羽瑠さんのこと大好きです!」

「やだ!良い子!!」

「もう、いいから行くよ!」

私は朔の腕をぐいっと引っ張る。
朔は引かれながらも、にこにこしている。

「あ、そうだ。
これ、駅前のプリンです。よかったら皆さんで」

「やだ〜!気がきくじゃない!」

母のテンションは最高潮。
朔は爽やかに微笑んでいるけど、
その横顔を見ていると、胸の奥がまたざわつく。