そんなとき――
「お、サボり仲間が来たな。」
お爺ちゃんが視線を向けた先に、立っていたのは。
「朔……どうして。」
「学校早退したの見えてさ。駅に向かってたから、心配で来ちゃった。」
へにゃりと笑うその顔。
いつもの朔の笑顔なのに、胸の奥がざわつく。
“追ってきた”という事実が、どこか怖い。
でも、同時に少しだけ安心してしまう自分もいて、余計に混乱する。
「君は……」
お爺ちゃんが目を丸くした。
「なんだか不思議な気分だな。」
朔は軽く頭を下げる。
「こんにちは、七瀬朔です。羽瑠さんの彼氏です。」
「ちがう!」
サラッと嘘をつく朔に、思わず声が裏返る。
お爺ちゃんが笑いながら言う。
「なんだ、羽瑠やるじゃないか。こんな男前、なかなかいないぞ。
まあ、お爺ちゃんの若い頃には負けるがな。」
「また始まった……」
お爺ちゃんのいつもの冗談。
本当なら笑えるはずなのに、今日は妙に遠く感じた。
朔がここにいることが、
“偶然”じゃない気がしてならない。
胸の奥で、また何かが軋んだ。


