万華鏡は月を巻き戻す


「羽瑠もすみにおけないな。」

お爺ちゃんが目尻をゆるめて笑う。

「からかわないでよ。」

頬をふくらませなる。

「そりゃあ、もしかしたら未来から来たのかもな。」

お爺ちゃんは顎に手を添え、わざとらしく遠くを見つめる。
その仕草が妙に芝居がかっていて、思わず吹き出しそうになる。

「えー? なにそれ。」

「夢があっていいだろ?」

「まあ、そうだね。」


でも、もしもそれが本当だったら……
朔は何のために?
わからない。
確かめたい。でも、こわい。

胸の奥で、ぐるぐると渦が巻いている。
息が浅くなる。
お爺ちゃんの穏やかな声が、かろうじて私を現実につなぎとめていた。