万華鏡は月を巻き戻す

それから4年が経った。
羽瑠32歳、
朔25歳。

朔が研修医の期間を終え、
正式に医師として働き出し少し落ち着いたころ。

私たちは結婚した。

白衣を脱いだあとも、
病院の外でも、
どんな日常の中でも、
隣にはいつも朔がいた。

「次はさ、生きているうちにやりたいことリスト…
3人になるね。」

そう言いながら朔が私のお腹をさする。

「そうだね。名前なにがいいかな?」

私がそう言うと、

「うーん。
いいこと思いついた!」

「なに?」

「月羽。」

「つきは?」

「そう!
月ってさ、失われてもまた満ちるでしょ?
だから、暗闇があっても未来へ羽ばたく光になるようにって。」

「すてきだね。
あ、でも男のこだったら?」

「あ!確かに!
一緒に考えよっか。」

「うん。」

二人で笑い合いながら、
未来の話をする。

会えなかった時間も、
泣いた夜も、
失ったと思った日々も、
全部ここへつながっていた。

そして今、
私たちは“生きているうちにやりたいこと”を
これからも一緒に叶えていく。

ゆっくりと、
確かに、
同じ未来へ。



『万華鏡は月を巻き戻す』 完結