万華鏡は月を巻き戻す

私は看護師として
朔が研修医として
黒木巧が指導医として

同じ病院で働いている。

なんていう…状況だろう。

白衣の擦れる音、ナースステーションの電子音、
その中に3人の声が混ざる日常が、
いつの間にか当たり前になっていた。

「黒木先生相談いいですか?」

「うん、いいよ。」

黒木は相変わらず淡々としているけれど、
なんだかんだで、面倒見が良さそうだ。
朔の質問にも、丁寧に答えている。

そして、
奇妙な関係は続く。

休日の夕方。
ホットプレートの上でたこ焼きがじゅうじゅう音を立てている。
部屋に広がるソースの匂いが、なんだか懐かしい。

「俺、ウィンナーとチーズがいい!」

「たこ焼きなのに?タコ入れないの?」

私が口を開く。

「俺、タコよりそっちの方がすき。
巧先生はー?」

ゆるりと朔が黒木をみる。

「僕は…めんたいチーズかな。」

そう言いながら、黒木はくるっとたこ焼きをひっくり返す。
手つきが妙に慣れていて、思わず笑ってしまう。

こうやって、3人で過ごす時間も増えた。

朔が笑って、
私が突っ込んで、
黒木が呆れながらも付き合ってくれる。

病院ではそれぞれの立場があるのに、
家に集まればただの“仲間”みたいで、
不思議と心が落ち着く。