万華鏡は月を巻き戻す


羽瑠が生きてるか確認するために、
俺はネットで黒木巧を検索した。

あった…。

『蝶はやっぱり自由に飛び回っている方がいい。』

その言葉とともに載っていたのは、
蝶々がふわり舞う中に立つ、羽瑠の後ろ姿の写真。

日付は――最近だ。

生きてる。

胸が熱くなり、息が震えた。

今すぐ会いに行きたい。
抱きしめたい。
名前を呼びたい。

でも――

羽瑠に会いにいこうと思ったけど、
今会いに行っても17歳の俺ではきっと相手されない。

大人になって、
ちゃんと隣に立てるように。

そう決意して、俺は海外に戻った。

そこからの時間は、
まるで何かに追われるように必死だった。

勉強して、
飛び級で大学を卒業して、
医者になるために走り続けた。

全部、羽瑠にもう一度会うため。



21歳、4月。

俺は研修医として日本へ行くことになった。

胸の奥で、
ずっと失われていたはずの鼓動が、
ようやく“未来”へ向かって動き出した気がした。

「羽瑠…もうすぐ会える。」

そう呟いた声は、
震えていたけれど、
確かに希望に満ちていた。